2002年09月18日の一覧

イギリスからのメール・・・Part2

イギリスの音楽大学でピアノの勉強をしているMiyukiさんが、
あちらの大学の様子をまたメールしてくださいました。

今回は、主にピアノ科で学んでおる学生が
どんな曲を弾いていて、試験はどんなものか・・・という内容です。

ピアノの先生方、またピアノの勉強をしている方には、
とても興味深い内容だと思いますので、
こちらに全文掲載させていただきます。

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こんにちは。おととい、イギリスへ戻ってきました。
お元気ですか。日本の夏にかなりまいりました。
こちらは、9月にしては珍しく20°近くありますが、
カラッとしているので、すごしやすいです。
でも、朝はかなりひえこんでいます。
8月には1週間、ロンドンでのサマーコースに参加しました。
とても勉強になりました。
趣味でピアノをやっている方、ピアノの先生でオブサーバーとしての参加など、
色々な方がいらっしゃいました。

今日は、こちらでのピアノについて少し。
大学での内容が主になると思います。
読みにくかったらすみません。

私が現在在学している学校では、週に1時間半のピアノのレッスンがあります。
私の先生は、2時間以上みてくださるのですが。

大学学部は、私のいる学年までは3年コースです。
試験については、
1年生 テクニック(1月から3月にかけて)
Clementi, Cramer, Czerny から2つ。
      プラス、スケール、アルペジオ
Short Performance (3月までに)
7分以上、ソロ、伴奏、室内楽、など
学年末 (6月)
Bach or Shostakovichのプレリュードとフーガ
Haydn, Mozart, Beethovenのソナタの第1楽章または、変奏曲
ロマン派、又は近現代の曲以上を、18分から20分にまとめる。

私は、テクニックの試験では、先生が、主任と話し合いを行い、
ショパンのエチュードをひきました。
Op.10-5,8をえらびました。この試験は、主任と各自の先生によって審査されます。
他の人は、Czerny50番が多かったように思います。

Short Performance では,Debussyのプレリュード1巻から、
野を渡る風、アナカプリの丘、ミンストレルズ、をランチタイムコンサートでひきました。

学年末は,Bachの平均律第1巻8番、E flat minor、Beethoven Tempest Sonata第1楽章、
Prokofiev 束の間の幻影から1番から5番をひきました。

他の人達は、Beethoven ワルトシュタイン、6つの変奏曲、 7番のソナタ、Haydn, Mozart のソナタ、Chopin Nocturne, 幻想即興曲、Debussy 亜麻色の髪のおとめ、版画より雨の庭、などでした。

ちなみに、各学年、 ピアノ科は、15人弱です。

2年生 テクニック
Chopin 又は、ロマン派のエチュードから1曲。   スケール、アルペジオ
Short Performance 1年次と同じ
学年末
Chopin 又は、ロマン派などのエチュード
ロマン派の曲 1970年以降にかかれた曲
以上を20-25分にまとめる

私は、テクニックでは、ショパンのエチュードOp.10-4,
Short Performance では、ヴィオラと、シューベルトのアルペジオーネソナタの第1楽章、

学年末では、ショパンの3度のエチュードOp.25-6,
幻想ポロネーズ、武満徹の子供のためのピアノ小品、
そして時間がたりなかったので、ドビュッシーの沈める寺をひきました。

ロマン派の曲は、シューベルトの即興曲、ショパンのスケルツオ1番、
シューマンのこどもの情景、蝶々、 アルベニスのイベリアなどをひいた人がいました。
1970年以降は、武満 雨の樹、など。

3年生 テクニック
エチュード2曲
Short Performance
卒業試験
自由に、30-40 分のリサイタル、 各自プログラムノートもかく。

私は、まだ何を弾くのかはっきりとは決まっていませんが、
卒業試験では、プロコフィエフのソナタ6番の全楽章を弾く予定です。

上記以外に私がひいたものをあげると、
1年生 バッハ partita 1番、ベートーヴェン テンペストソナタの2、3楽章
2年生 ベートーヴェンソナタ32番、モーツアルト ソナタK.545 C major, バッハ 平均律第2巻 ハ長調、グリーグ 協奏曲、

現在は、上記の曲と、バッハ 平均律 第2巻 2-4番 シューベルト さすらい人幻想曲、
シューマン ソナタ2番、ブラームス 協奏曲第2番、ドビュッシー
プレリュードよりパックの踊り、プロコフィエフ ソナタ6番 、
ショスタコーヴィッチ プレリュードとフーガ 24番ニ短調
そして、エチュード。ショパ唐フOp.10-1,2 Op.25-1,2,11,12 リストの超絶技巧のエロイカとWild jugd, ラフマニノフの音の絵 Op.39-3を。
1年生の頃から、ひいているものもあります。
私の先生は、かなりエチュードに対して、量が多いです。

長々とわかりにくくなってしまいました。私は、学年のなかでも、量の多い方です。
やりたい曲が山程あって、でも私自身で曲を決めさせてもらえないのが、残念です。
でも、先生がえらんで下さる曲は、どれも私にピッタリです。

最後に、入学試験は、学部の場合、2、3曲で20分程度です。自由曲です。

どのような曲をひいているのか、試験の曲など、すこしでも御参考になれば幸いです。
学年末は、希望すれば、公開に、卒業試験は公開されます。
また時間をみて、レッスンについてお伝えすることができれば、とおもいます。

それでは。

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以上です。

私の感想・・・

レベル的なものよりも、思った以上にたくさんの曲を勉強するのだなー・・・と言うことと、
「Performance」と言う形で、ある程度の時間になる曲を同時に学習して
どの学年でも、ちょっとしたリサイタルくらいできるような形に
持っていっているのだなーと言うことです。

これは日本の音大の(私の知りうる限りの音大ですが)
前期の曲が終ったら後期の曲・・・ほぼそればかりにかかりきりになり、
その曲が仕上がるまでは「何か弾いて!」と言われても、
弾ける曲がない・・・
という状況とはかけ離れているなー・・・と思いました。

やはりその人なりの「レパートリーを積み上げていく」と言うことを重視した
カリキュラムのように思いました。

現在のように、一部の音大を除いては、
かなりピアノ科への入学のハードルも低くなった今、
大学に入ってからしっかりとたくさんの楽曲にあたれるように、
そろそろ日本の音大も、
カリキュラムを見直したほうが良いのではないかなーと
思ったりもしました。

Miyukiさ~ん、本当にありがとう!

またそちらの様子、知らせてくださいね!

2002年09月18日 | この記事のみを表示 | 8.未分類 | コメントは受け付けていません。