2003年12月04日の一覧

生きた楽語Part.2

先日、関孝弘先生の
「生きた楽語について」の講座があり、行って来ました。

この講座は今回で2度目・・・
1回目のことについては、この日記の6月7日のところに載せてますので、
読まれてない方は、左のフレームから6月に飛んで、どうぞご覧下さい。

たくさんの内容の中から少しだけ・・・

まずは1番日本で間違ってる人が多いこと・・・
これは「con anima」だとおっしゃっていました。

「con anima」は楽語辞典では、
大抵「活気を持って」とか「生き生きと」と書いてあります。

その部分からテンポを上げてしまう人が多い・・・との事でした。

「con anima」に、テンポを上げるような意味は全くなく、
「anima」はとても「霊」的なものを指すそうで、
「深いところに心を込めて・・・」と言うことなのだそうです。
要するに「心の動き」を指すそうです。

だからテンポがゆっくりになるところに、
「con anima」が出てくる事は多いにありえることで・・・

この講座から帰った日、中学生の生徒が持ってきた楽譜に
いきなりありました。

ショパンのポロネーズOP.26-1、中間部Meno mossoのところです。

ほんとだ~・・Meno mossoとcon animaが並んで書いてある・・・
Meno mossoが大きく書いてあるので、今まで気にならなかった・・・
(ダメな先生だ・・・私・・・)

でもそんなことは顔に出さず、
「ここはね、テンポは遅くなるけどね、心の深~いところではね・・・云々・・・」
と、知ったような顔をして語ったのでありました。f(^_^)

あと、面白いなと思ったのは・・・
sf(スフォルツァンド)とfz(フォルツァート)と>(アクセント)の違い・・・

この3つは楽語辞典では3つとも
「その音を特に強く」くらいにしか書いてないけれど・・・

スフォルツァンドは「必要以上に力を入れる」
「強制的」「大声」と言うような意味・・・
要するに「血の滲むような」感じの強さなのだそうです。

それに比べ、フォルツァートの方は、
「決定的なこと」「正統」などの意味があり、
スフォルツァンドほどの激しさはないそうです。

またアクセントは「ちょっとだけ目立つ」感じ・・・
洋服に付けるアクセサリー程度なのだそうです。
「キラリ」と光ればそれでいい・・・・

他にも楽語の話はいろいろあったのですが、
長くなるのでこのあたりで・・・

他にもいろいろ面白い話をしてくださったのですが、
西洋と東洋の「舞踏」に付いての話がとても興味深かったです。

西洋の踊りは・・・例えばバレエにしても、上に向かう踊り・・・
つま先立ちで伸び上がり、蝶のように舞う・・・

それに比べ、東洋の・・・例えば「能」や「歌舞伎」・・・
腰を落とし、すり足で歩く・・・エネルギーが下に向かう舞い・・・

この舞踏の歴史も、音楽にとても密接に関係していて
例えばピアノの演奏にしても、西洋のピアニストの「軽やかさ」
は、そんなところにも関係しているのでは・・・とのお話しでした。

私もそれは大いに思うところで、
先日のネルセシアンのコンサートの時にも書きましたが、
あの「シルクに包まれたような」軽やかさの秘密は、
実はそんなところからも来るのか・・・と納得したのでした。

あともう1つ・・・
最後に・・・と言うことで、おっしゃったこと・・・

「常に考えなさい」・・・と言うことです。

演奏者としても、指導者としても・・・

常に疑問を持ち、どうしたらいいか、いつもいつも考えなさい・・・と・・・

そして考えたことが、99うまくいかなくても、
残りの1で成功する可能性が出てくると・・・

このことは、先生が先日対談された、
北野タケシさんも言っておられたそうです。
彼もいつもいつも考え、
ベットのそばにもメモ用紙を置いて
思いついたことをすぐに書きとめているのだそうです。
(この対談は12月20日発売の「BSファン」という雑誌に載るそうです。)

いつもいつも悩んだり、迷ったりしている自分に、
時々嫌気が指す事があるんだけど、
これでいいんだ・・・と、ちょっとほっとした瞬間でした。

たった2時間の講座でしたが、本当に内容の濃いものでした。

最近は、とっても良いお話しを聞くチャンスが続いています。

ただ・・・これをしっかりレッスンに活かさなくっちゃね~・・・

2003年12月04日 | この記事のみを表示 | 8.未分類 | コメントは受け付けていません。