2010年06月29日の一覧
思うこと・・・
佐賀では、A2級からF級と連弾
全部で145組の人たちの演奏を聴かせていただき、
コメントを書き、採点をしました。
いつもは生徒達が審査をされる側ですが、
立場が変わるといろいろ思うことが出てきます。
「大事だ」と思っていたことが
「実はもっともっと大事だ」ということに
改めて気付いたりもします。
まずは出だしの数小節・・・
そこで、はっとするような美しい演奏に出会うと、
ぐっと心を惹かれます。
それは音色の美しさ、歌心はもちろん、
その曲にあったテンポ設定
その他の声部とのバランス、
生き生きとした拍感の中にあって
出てくるものですが・・・
そしてそのような演奏をされる方は
必ずと言っていいほど
演奏を始める前の「間」があります。
自分の出したい音、表現したい音楽を
ちゃんとイメージしてから演奏を始めているのでしょう。
そう言うことは、突然本番でできることことではなく
日頃からいつもそうしているのだと思います。
そしてその次に、聴く側としては
その後どんな展開があるかということに
興味津々となります。
全く変化のない曲など、
この世の中にほとんど存在しません。
まずそんな曲は、コンクールの課題曲にはなりませんし・・・
A2級の短い曲でも、ちゃーんとそれなりの展開はあります。
A-B-Aなら中間部がどうなっているか、
ロンド形式ならAーBーAーCーAーBーAの、
AとBとCのキャラクターがどう展開するか・・・
それらをちゃんと把握し、
調性感も伴ったディナーミクの変化、
音色の変化、表情の変化がついていると
「ほ~~っ」と思います。
逆に全くそれがなされないと、がっかりします。
そしてもう1つ、審査にあたって気になること・・・
読譜ミスが結構多いのです。
特にD級、E級、F級あたりです。
古典の楽譜あたりでは
版によって楽譜に書かれてあることが違う、と言うこと
良くあることです。
ショパンの作品などでも、よく見かけられます。
そうではなく、近現代など
今回のコンペティションのために書き下ろされたもの
楽譜が1つしか存在しないもの、などで
明らかに読譜ミス、と言うことが多々あります。
今回の佐賀だけでなく、
生徒の演奏を聴きに行ったこの近場の会場でも
よくそう言うことがありました。
1小節間ずっと、ある音のシャープが抜けていたり
明らかに違うリズムや違う音で弾いている
と言うことがあります。
(特に近現代の曲はそれでも
それほど違和感なく弾けてしまう事もありますから・・・)
全体の1割強に
そう言うミスがあるようにも思いました。
結構多いのです。
本人も、会場に着いてから
他の人の演奏を聞いてそれに気付くと
とても不安な気持ちになるでしょうし・・・
やはり読譜ミスは頂けません。
楽譜をきちんと見ましょう、とは
いつも言われることではありますが、
思い込んでしまうとなかなか気付かなかったりもします。
よく弾けるようになってきたからこそ
もう一度CDなどを聞きながら楽譜とにらめっこして
読譜のミスはないか、調べてみると言うのも
大事だと思います。
最近は、ナクソスやYouTubeなど利用して
いろいろな音源を聴く事もできますので・・・
(もちろん、音源にミスがある場合もありますが・・・)
今回も、ダ・カーポを見落としていて
ぶつんと途中で演奏を終わってしまった方がおられました。
一瞬何が起こったのかと、
審査員一同お互いの顔を見合わせました。
これは、「演奏放棄」とみなされる場合もあります。
一度でもCDをちゃんと最後まで聞いていれば
こんなことにはならなかったと思います。
繰り返しカットの演奏はありますが
ダ・カーポが省略の演奏は
存在しないでしょうから・・・
まだまだ本番を控えた方も多いと思いますので
参考までにいろいろと思うこと・・・
書かせて頂きました。
↓今週のお花