生きた楽語
2003.6.7
突然エロい話ですが・・・
昔々、イタリアのポルノビデオでは
女性が「フォルティッシモ!フォルティッシモ!」と
叫ぶんだ・・・と言う話を聞いて・・・
「ぎょえ~?なんでなんで?」と驚きましたが・・・
そうか・・・我々が音楽用語だと思っている言葉は
実はイタリアでは普通に使われている言葉なんだ・・・
と認識したわけです。
その後「ドルチェ」はデザートのこと・・・などの話を聞いて
ふーん、おもしろいなーと思ったものです。
昨日、芸大の関孝弘先生の「生きた楽語について」という
講座がありました。
関先生は奥さまはイタリア人・・・ご家族はイタリア在住で
日本とイタリアを行き来しながら、演奏活動、指導などを
されている先生です。
この講座、とてもおもしろかったので、抜粋して紹介します。
まず日本で売られている楽語辞典、
なんでもかんでも短く意味を書いてしまっているので
本来の意味からかけ離れてしまっているのもあり、
あまり役に立たない・・・との事でした。
ピアノを教える人、習っている人は
是非イタリア語辞典を一冊持ってほしい・・・と・・・
楽語の意味を取り違えてるために、
本来の曲の解釈からずれてしまう・・・と言う事もあるようです。
まず今回は速さの楽語についてが中心でした。
ラルゴとレント・・・どちらも「遅く」と言う意味ですが、
ラルゴには広がりのあるイメージがあり・・・
例えばイタリアのブティックに入って試着をし
「ラルゴ!」と叫ぶと「こりゃぶかぶかだわ!」って事のようです。
すぐに店員は、もうワンランク小さい服を持って来てくれるでしょうと・・・
「レント!」と叫ぶと「ちょっとゆるいかしら・・・」くらいだそうです。
「お直ししましょうか?」となるそうです。
あとアンダンテは「歩くような速さ」とよく訳されていますが、
歩く・・・と言うような意味はなく、
「ほどよくゆっくり」前進するイメージだそうです。
アレグロとプレスト・・・どちらも「速く」となりますが、
アレグロは速さでなく、表情を現わす意味合いが強く、
陽気とか、幸せ、明るい・・・と言う意味だそうです。
タクシーに乗って「アレグロ!」と言うと
タクシーの運ちゃんはスピードを上げるのでなく
歌を歌い出すか、お客に抱きつくか・・・
「もっと楽しく行こうよ!」となるそうですから・・・(^o^)
急ぐ時には「プレスト」を使うように・・・との事です。
あと興味深かったのは、テヌートとソステヌート・・・
目の前にあるボトルをひょいと上からつかんで
「これがテヌートですよ。」とおっしゃいました。
テヌートには、上から支配する・・・と言うような意味があるそうです。
親が子供をテヌート(支配)するとか・・・
次に下からボトルを手のひらに乗せて持ち上げるしぐさをされました。
これがソステヌートだそうです。
下から支える・・・援助とか支援とか・・・
緊張感を持って精神的に支える・・・と言う意味だそうです。
音楽をする上で、テヌート・・・精神的な支え・・・
これはどんな曲に対しても必要なんですよ、
とおっしゃっておられました。
あと書ききれないほどいろいろなお話をしてくださったのですが、
一番最後にどうしてもこれだけは言いたい・・・と言われた事・・・
スタッカートです。
スタッカートには「切る」と言う意味はないそうです。
ましてや「短く切る」も・・・
スタッカートの意味は「分離する」・・・
付いている音符を2分の1や4分の1の長さに分離する・・・
というだけです。
日本人はとかく「切る」と言うイメージを教えこまれ、
スタッカートの部分になると、一番大事なカンタービレが失われ
プツプツと音楽が途切れてしまう・・・とおっしゃっていました。
本当におもしろい講座でした。
引き続き、この手の講座、広島でやってくださるようで、
本当に楽しみです。
実は・・・・
私は今年の夏休みは、イタリア旅行を計画しておりまして・・・
先月あたりから、格安航空券をゲットしたり、ホテルをネットで予約したり
鉄道の乗り放題パスを探したり・・・嬉々として準備しております。
ただツアーの旅行でないもんで、心配は言葉の事だったのですが・・・
まあ、楽語を並べときゃ、なんとかなるかな~と思ったり・・・
いや~・・・ちょっと甘いかな??(^-^;
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