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戦中の発表会

大正１３年生まれのＳさん、
今日レッスンのときに、一冊のファイルを持って来てくださいました。

「めずらしいものが出てきたんですよ。先生興味持たれるかと思って･･･｣

なんとそこには、
Ｓさんが６０年ほど前に習っておられたピアノ教室の
発表会の写真やプログラムが綴じてありました。

昭和１４年、１５年、１６年と３回分です。

ちょうど第２次世界大戦が始まった頃だな～･･･

集合写真はどれも金屏風の前･･･
昭和１４年と１５年の写真は、男の先生が中央に座っておられたけど、
１６年の写真は奥さまが中央に座っておられました。

男の先生は、戦地に行かれたそうで･･･

でも思ったよりもみんなおしゃれ！
今と変わらないようなテカテカのドレスもあるし、
大きな生徒さんはとってもモダンなお洋服です。

ただ昭和１６年のには急に和服姿が増えています。
やはり･･･ドレスを着る雰囲気ではなくなってきたのかしら･･･
それにしても、和服姿でピアノ･･･さぞかし弾きにくかったでしょうね･･･

プログラムの方は、なぜか１６年のだけが縦書きでした。
これって･･･横書き禁止令とかあったのかしら･･･？？

プログラムの曲目･･･これも興味津々ですが、
今とあんまり変わらないな～と言うのも正直な感想です。

シューベルトの即興曲、ショパンのワルツ、エチュード、幻想即興曲、
ベートーヴェンのソナタ、ハイドンやモーツァルトのコンチェルト
メンデルスゾーン、ウェーバー、リストなどなど･･･

それにしても、なかなかハイレベルな教室だったようです。
Ｓさんも、最初の頃は近くの子供相手の教室に通っていたのが、
しばらくしてここの教室を紹介され移った･･･との事でした。

もしかしてこの出演者の中に、
戦後のピアノ教育界を引っ張って行かれた方も
いらっしゃるんじゃないかしら･･･
そんなことを思いながら、しげしげと拝見させて頂きました。

その写真もプログラムも昭和１６年が最後となっていました。
きっと発表会どころではない時代に入っていったのでしょう。

この当時の皆さんの演奏、聞いてみたい気がします。
戦争色が濃くなっていく中で、みなさんどんな思いを胸に
どんな演奏をされたのでしょうか･･･

そしてうちの生徒たちも、こうやって６０年後にも
ちゃーんと発表会の写真やプログラム、取っててくれるのかな～？

無理かな？(^^;