こんな授業はいらない・・・!

 中学2年生のT君は、とても音楽の好きな男の子です。いつもCDウォークマンを持ち歩き、いろんなコンサートに行っては感想を熱っぽく話して聞かせてくれます。ピアノの練習はあんまり好きじゃないけど、それでも今回の発表会では小さい頃からの憧れだったビリージョエルを素敵に演奏してくれました。
 
 以前そのT君のお母さんと話していると、T君中学に入ってからの音楽の成績がとっても悪いんだそうです。長いことピアノやってるのに・・・とのお母さんの言葉に、これはマズイ!と1年の学年末の前は、レッスンを試験対策のお勉強に切り替えました。
 そして、T君には学校の音楽の教科書を持ってきてもらったのですが・・・彼の中学では教科書の他に全員にドリル(練習問題)が渡されていて、なんと音楽のテストは、そのドリルの何ページから何ページの中からそっくり同じ問題が出る、と言うことでした。
 驚きました・・・内容は、古楽器の名称やシューベルトの「魔王」についてなどなど・・・どうやらT君は、音楽が「わかっていない」のではなく、単にドリルの丸覚えが苦手なだけのようでした。本当に、こんな事で音楽の評価を付けてしまう先生って・・・どうかしてる!
 
  私が子供の頃苦手な教科、それは「体育」でした。足も遅いし体力もない、逆上がりができなくて放課後毎日学校に残された事や、跳び箱が飛べなくて卒業させない、と言わたことも・・・(これは高校のとき・・・)
 大学3年で「体育の時間」が無くなって、やったー!と思った記憶があります。(なんと音大でも1,2年は体育があった・・・)
 で、成績は小学校の時はずっと3段階の一番下、「努力がいる」でした。 その後中高でも似たようなもの・・・嫌いなもの、と聞かれたら迷わず「体育」「運動」と答えていました。
 
  そんな私ですが、30になった頃、入院していた母に「あなたも体が弱いんだから何か運動しなさい。プールでも行ったら?」と強く勧められて、スイミングスクールに通うようになりました。週に2回、本当にちゃぽちゃぽと泳いでいたのですが、10年も通っていると、結構な距離が泳げるようになりました。そして水泳のおかげで弱かった心肺機能もちょっとはマシになったようで、ゆっくりなら走れるようになりました。
 そして昨年トライアスロンやマラソンにも挑戦・・・今ではスポーツクラブに通うのが生きがい!なんてことになってしまいました。
 
 で、思うのです・・・私、運動嫌いじゃなかったんだなーって・・・他の人より運動機能はかなり劣っているけれど、自分のペースでやるのなら、こんなに楽しくできるんだなーと・・・他の人と比べられて「劣っている」と言われ続けたんで、運動は「苦手」「嫌い」と思いこんでいた、と言う気がするのです。
 
  「音楽」や「体育」に、何で評価がいるのでしょうか・・・プロになるならともかく、どちらも一生を通じて、その人なりに上手に付き合っていけばいいものですよね。 評価がなければみんな頑張らない・・・と言われるのかも知れませんが、なんで頑張る必要があるのかと・・・
  例えば体育の時間は、いろんなスポーツをみんなで体験する、音楽の時間はいろんな音楽を聞く、そして好きな楽器を1つ選んで外部から講師を呼んで卒業までに何か1曲演奏できるようになる。その方がよっぽど将来の役に立つと思うのですが・・・少なくともドリルの丸覚えよりは・・・
 
 音楽やスポーツが嫌いになってしまう為の、音楽の授業や体育の授業なんていらない・・・そう思うのですが・・・皆様のご意見もお聞かせくだされば嬉しいです。