ピアノコンクールの功罪 |
6月は広島では、中国ユースコンクールと言う新聞社主催の人気のコンクールがあります。何が人気かというと、入賞者が新聞に載るというので参加者が異常に多いのです。 先週は中学生の部、今日は小学3.4年の部があり、うちの教室からも数名参加する生徒がいたので、今日は1日会場に入り浸ってました。(なんと今日の参加者は200名・・・うー疲れた・・・) で、今日私の前の席に、うちの弟にそっくりの出演者のお父さんが座っていました。(本当にそっくりで驚いた・・・年恰好も一緒くらい・・・) そのお父さん、隣に座っている我が子に、出演順がくるぎりぎりまで必死に話し掛けてるんです。 耳をダンボにして聞いてみると・・・他の子の演奏を聞きながら、(なんとこのコンクールは課題曲が1曲で皆同じ曲を弾くのです・・・)「あの子みたいに遅く弾いたらいけんぞ。」「うん、あのテンポ・・・あのテンポで弾くんだぞ。」「この子みたいな弾き方はだめだぞ・・・」などなど・・・ コンクールに生徒を出演させるようになって、もう10年以上も経つのですが、昔はお父さんといえば、会場へのアッシー君はさせられても、ロビーの片隅でタバコなんか吸いながら「まだかのー・・・」状態で待ってる、と言うのがフツウだったんですが・・・ 最近は違うんですよ。他にもあちこちで、子供にウォークマンで模範演奏のテープを必死で聞かせてたり、終わった子に「何であんなところでミスしたんか・・・」なんて言ってるお父さんがいたり・・・本当に時代は変わりました。 さて、その前に座っていたうちの弟似のお父さんの子供さんは・・・なんと1オクターブ上から弾き始めてしまった・・・すぐに弾き直しはしたけれど、これはコンクールでは致命傷です。あ〜あ・・・お父さんも首をガックン・・・ 目を真っ赤にして帰っていた子供に、そのお父さんは引きつりながら「仕方ないよ・・・」とおしゃっていましたが・・・あんまりプレッシャーかけすぎだよ〜・・・ 子供たちのコンクール、本当にメリットもデメリットもあるんですよね。 コンクールで賞を取るような生徒を育てたい・・・若い頃は必死でそんなこと思っていましたが、賞を取るような子が出てきたら出てきたで、いろんな問題がどんどん出てきました。ここではとても書ききれないほど・・・ ただ、私自身の指導に大きな過ちはないか、また伸びる子は教室内だけでなく、大きな世界で伸ばしてあげたい、などの気持ちで毎年数人参加させたりはしているのですが・・・ 大人が大騒ぎしすぎて子供たちに余計なプレッシャーをかけたり、賞が取れなかったことで×印を付けてしまうことが1番怖い事だと思っています。コンクールで賞を取ったからって、将来を保証されるわけでも何でもないんですからね。 最近はお母さん方にも充分にそんな話をしてコンクールに臨んでもらうようにしているんですが・・・これからは、お父さん方にも話をしなければいけなくなるのかな〜・・・ 今日は父の日・・・うちの弟もこの3月に初めての子供が誕生して、晴れて父親となりました。 うーん・・・でもちょっとタイプ的に、あの前に座っていたお父さんみたいになりそうだな〜・・・もう乳幼児スイミングどこに入れようか、なーんて言ってるらしいから・・・(2000.6.18 日記より) |