70年前、海を渡ってやってきたピアノ・・・

 いつの間にやらお盆休みも終わりました。皆様はいかがお過ごしになられたでしょうか・・・
 
  私は両親の故郷である、山口県大島のそのまた先に浮かぶ、沖家室島と言うところに行っていました。 そこで15日に廃校になった学校の記念碑除幕式の記念式典があり、そこで校歌の伴奏他をしてきました。
 
  実はそこの学校のピアノ、70年前にハワイ在住の私の祖母の兄にあたる人が寄付をしたという、とても私にとってご縁のあるものでした。
  小学校の頃は、夏休みと言えば、ずっとそこの島で過ごしていましたので、ピアノの練習はそのピアノを使わせてもらっていました。 ニューヨーク製のアップライトピアノで、蓋のところを2段階で開ける、とても変わったピアノでした。
 
  ここ20年ほどは、廃校になった校舎の片隅で、埃にまみれてほったらかしになっていたのですが、そこの島のホームページの メーリングリストで、島に住む77歳の石井さんと言う方が「ピアノの先生なら、学校のピアノのこと知っとるか・・・」と 私に教えてくださったのです。
 
  7月の終わり、島までそのピアノの様子を見に行くと、もう弦もハンマーもぼろぼろ、 鍵盤も押さえると上がって来ないような状態でした。 その後、いろんな人たちのおかげで、そのピアノを今回の式典が行われる公民館に移し、2度にわたる修復作業の末、 何とか今回の式典で使えるまでに回復させていただくことができました。
 
  70年前に船に乗って海をわたってきたピアノ・・・当時家が一軒買えるほどの金額だったそうです。 もちろんその当時はクレーンなどはなく、島に横付けした船から、大人たちがよいしょよいしょと運んだのだそうです。
 
  ピアノの寿命は大体30年と言われているそうですが、こうして70年前のピアノが無事蘇りました。
  「子供たちに音楽を・・・」の思いで、大金をはたいてピアノを寄付した大叔父、重たいピアノを 校舎までかかえた父兄の方々・・・ 皆もう天国に行ってしまっているのですが、こうしてまたこのピアノが復活したこと、 雲の上からきっと喜んでくれていると思います。(2000.8.18 日記より)