「正しいフォーム」と「脱力」

プールに行くと、大体1キロから1.5キロの距離を泳ぎます。 そんな話をすると、「よくそんなに泳げるねー・・・」と言われるのですが・・・

水泳を習い始める前は、そんなことはありませんでした。 数メートル泳げばぜーぜーハーハー・・・顔は真っ赤・・・ そんな状態でした。

水泳を習おうと思ったきっかけは、 しゅっちゅう偏頭痛には悩まされるし、疲れやすいし・・・ 虚弱体質の体を何とかしたかったからです。 今の私からは想像がつかないかもしれないけれど・・・
で、週2回近くの水泳教室に通ったのですが・・・ たまたまその教室のコーチが、とってもすごい人で、 基礎をみっちりたたきこまれました。

基礎とは・・・「正しいフォーム」と「力を抜くこと」です。 それをきっちり覚えないと、楽に長い距離泳げないわよ! といつも言われていました。
午前中の水泳教室なんて、主婦ばかり・・・ 体に良さそうだし、ついでにダイエットできればな〜・・・ くらいの生徒を相手に、 そこまで言うか〜・・・と言うくらいの徹底的な指導でした。
水を掻いたあと、水面に上がってきた腕をむんずと掴んで、 「ほら、力入ってるでしょー・・・ここで抜かなきゃ、ほら〜〜!」 フォームに関しては、腕の入水の角度、指のどこから水に入れて、 どこを通ってどう掻くか・・・ プールから上がって、鏡の前でも絶えずフォームのチェックです。 何年もそれを習いました。

で、いつのまにか・・・です。 いつのまにか、どんな距離泳いでも、平気になってきました。 泳ぐ事って、こんなに楽な事だったのか・・・そんな感じです。

も1つ、ゴルフを習ったこともあるのですが・・・ やっぱりその時も同じでした。 しつこいほど言われたのは、「力を抜く」こと・・・ 抜いたつもりでいても、「まだまだ抜けてない!」でした。
それと正しいフォーム・・・ 振りきったあとの姿勢をきっちりと体に覚えこませる・・・ そんなレッスンでした。 そして、コーチの言うとおりにすれば、 面白いくらいボールはまっすぐに、そして遠くに飛びました。

全部一緒なんだ〜・・・ そう思いました。

ピアノもスポーツも、基本は一緒・・・ 「正しいフォームを徹底的に身につけること」と「脱力」です。

他の教室からかわって来られた生徒さんで、 残念なことにこういう事をきちんと 指導してもらえなていない生徒さんに時々出会います。
そんな生徒は、ピアノを弾いたあと、 「いたたたた・・・」と言うような感じで腕をさすっています。 頑張って、難しい曲をこなしてはいるのに、 脱力がきちんとできていない演奏は、 音も硬く、聞いていていも苦しくなります。 もちろん、本人が1番つらいでしょうが・・・

で、かわいそうなことに、 一生懸命練習して、頑張ってきた子ほど、 脱力のできていないガチガチの弾き方が身についてしまうと、 ちょっとやそっとではそれが取れません。
本人にとっても、私にとっても 苦難の日々が続きます。

もちろん、「前の先生がちゃんと指導されていなかったから・・・」 何てことは、口が裂けても言いませんが・・・
ごく一部です。 ごく一部の先生だけど、本当に大事なことをきちんと伝えず、 「本を進めるだけ」のレッスンをしてらっしゃる・・・ そう思います。 これでは、プロとしては失格です。

個人レッスンなんです。 正しい奏法を、きちんと教えましょう。 生徒が練習する、しないなんて関係ないです。 してもしなくても、私達がやらなくてはいけないことはあります。

この事は、いつか書かなくては・・・とずっと思っていました。 というか、この事が書きたくって、このHPを作った・・・のかもしれません。

「正しいフォーム」「脱力」 この2つを全く教えてもらわずに、 ただただ頑張ってきた生徒・・・ そんな子に出会うたびに「ふ〜・・・」と溜め息が出るのです。

長く楽に泳ぐには・・・
長く楽にピアノを弾き続けるには・・・・
「正しいフォーム」と「脱力」です。     (H13年9月10日日記より)