>大人の生徒さんから学ぶもの・・・ |
月2回、木曜日の午前中レッスンに来られている平松さんは、高校生の息子さんのいらっしゃる主婦の方です。1年半前、このホームページでここの教室のことをお知りになり、少し遠いところにお住まいなのですが、せっかくのご縁だからと通ってきてくださっています。 平松さんはこれまでピアノを弾かれた経験はなく、まったくの初心者でした。最初は、指の体操や譜読みからスタートしましたが、もう今は、「禁じられた遊び」「白い恋人達」など、何曲ものレパートリーを軽々と弾かれ、現在は大人のクラスの終了曲でもある「エリーゼのために」のオリジナル版を、3分の2以上マスターされました。 少し目がお悪いとの事で、楽譜は拡大コピーして持ってきてくださいますが、本当に努力家で、みるみると上達され、こちらが頭が下がるばかりです。 これまでも、この教室にはさまざまな大人の初心者の方が通ってこられました。40代の生徒のお父様お2人もそうです。このお2人もまったくの初心者でしたが、3年から5年という期間をかけ、何曲かのレパートリーと「エリーゼのために」を完成され、発表会にも出演、他の父兄の方から「すごく感動した・・・」という声を頂きました。 大人の初心者の方は、必ず最初の日に、「本当に私が弾けるようになるんでしょうか・・・」とおっしゃいます。きっと教室の門をくぐられるまでの間も、「ピアノが弾けるようになったらどんなにいいだろう・・・」と言う気持ちと、「でももう自分には無理ではないか・・・」という気持ちを繰り返しながら、一大決心で習いに来られるのだと思います。 ですが、皆さんご自分の強い意志で始められただけあって、なかなか思うように動いてくれない指と格闘しながら、本当にすごい努力をされます。 私はこういう大人の生徒さんから、たくさんのことを学びました。私達にはあたりまえの事である「ピアノを弾く」と言うことが、どんなに素敵なことであるのか・・・そして、新しいことにチャレンジすることのすばらしさ、そしてこつこつと努力していけば、必ず夢はかなうのだと言うこと・・・です。 豊かになったこの日本の国には、子供達が習う事を辞めてしまい、1年中蓋が閉じられたままになっているピアノが、もう気の遠くなるくらいの台数眠っていると言われています。どうかこれからは、子供達の習い事の道具としてだけではなく、こういう大人の方が増えてきて、一生を通じて音楽と触れ合っていく大切なパートナーとして、ピアノが活躍してくれれば・・・と願っています。 |