レパートリーを増やすレッスン・・・

高校1年生の彩加さんのレッスンの時の話・・・次の音楽の時間、楽器の弾ける人は何か1曲披露しなければいけない、という事になったそうで「先生、何弾こうかー・・・」と、たくさんの楽譜を抱えてやってきました。何も楽器ができない人は、歌を歌う、ということなのだそうです。
 彼女のレパートリーカードの中の曲目は、どれも素敵な曲ばかり十数曲・・・その中から、ショパンの幻想即興曲、軍隊ポロネーズ、リストの愛の夢、の3曲をとりあえず選び、仕上げのレッスンをしました。最終的にはどの曲にするかは彼女に任せるとして、「どの曲にしても、すごくかっこいいよ。みんなびっくりするだろうね。」と話しました。
 次のレッスンでその話を聞けるのを楽しみにしていたのですが、結局「愛の夢」を演奏したそうで、にっこり笑顔で「うまくいったよ!」と報告してくれました。
 
 彼女は、小さい頃から硬式テニスでは広島を代表する選手で、いつも県代表に選ばれ、全国大会でも上位の成績を収めているとか・・・見るからに体育会系の彼女、学校でもテニスの事はよく知られていても、ピアノの事はあまり知られていないようで、彼女のすごい演奏に、みんなボー然・・・!だったそうです。
 他の人はみんなバッハなどの短い地味な曲ばかりで、私1人目立ったよ、との事でした。彼女の行っている高校は、中高一環の有名私立高校で、ピアノも本格的にやっている人は多いはず・・・それでも、一週間前に言われたのでは、以前弾いた大曲を引っ張り出すのは間に合わなかったようです。彼女が中1の頃から続けてきた「過去弾いた曲もずっと弾き続けて、レパートリーを増やすレッスン」は今回も、大成功だったようです。
 
 試合や合宿、遠征と駆け回り、夜8時からとしているレッスンにも練習場からぎりぎり駆けつける・・・という超多忙の彼女、きっと口にした事はないけれど、ピアノをやめたいと思った事も何度もあると思います。でもきっと今回の事で、やっぱり続けてきて良かった・・・と思ってくれているのではないかな、と私にとっても嬉しい出来事でした。
 
  ただただ残念なのは、いつも発表会でもみんなをワーっと言わせる演奏をしてくれる彼女、この4月の発表会の日は大事なテニスの遠征と重なってしまい、参加できないとの事・・・彼女もすごく残念がってくれているので、きっとこれからもこの超多忙スケジュールをこなしてくれ、次回の発表会には出てくれる・・・よね。(2000.3.16 日記より)